【基礎中の基礎】化粧品の3つの基本成分をとは?良い化粧品の成分バランスとは?
化粧品の成分というと、ヒアルロン酸、コラーゲン...と思い浮かべる方が多いと思います。しかし、化粧品の約7割は基材と呼ばれる3つの基本成分で構成されています。
もちろん、化粧品原料も大切ですが、「良い基材」こそが、良い化粧品を作るための最も重要な要素なのです。
今回は、化粧品原料の基本を解説します。
化粧品は3つの基本原料からできている
化粧品は、全成分の7~9割を占める3つの基本成分(基剤)でできています。
・水性成分
・油性成分
・界面活性剤
洗顔料、化粧水、乳液などは、これらの成分のバランスによって作られています。
水性成分
その名の通り、水に溶ける成分です。化粧水などのスキンケア製品に水性成分が多く含まれているのは、肌の水分を保持することが目的だからです。
精製水は、最も一般的に使用される水性成分である。化粧水や乳液の成分表示を見ると、ほとんどの場合、水が最初に記載されています。
精製水でも良い化粧水を開発することは可能ですが、基本的な成分にこだわりたいのであれば、単純な水をベースにすることは避けましょう。
・温泉水
・果実水
・フルーツウォーター、ハーブウォーター
これらの水系成分は、水に含まれるミネラルやアミノ酸により、より美肌効果が期待できます。
油性成分
油性成分は、油のように水に溶けない成分です。皮膚表面に保護膜を形成するため、高い保湿効果やエモリエント効果が期待できます。
乳液やクリームには油性成分が含まれており、化粧水にも油性成分が含まれているものがあります。これらの成分は、水性成分の蒸発を防ぎ、肌のしっとり感を長時間保つために欠かせない成分です。油性成分には、液体、半固体、固体、サラサラ、しっとりなど、さまざまなテクスチャーがあります。水性成分との相性や作りたいアイテムによって、油性成分の種類を使い分けることが大切です。
しかし、水と油は混ざらないため、水性成分と油性成分だけでは化粧品は完成しません。そこで登場するのが「界面活性剤」と呼ばれる成分です。
界面活性剤
界面活性剤は、水と油の両方の性質を持つ成分です。水性成分と油性成分を合わせた液体に界面活性剤を加えると乳化が起こり、化粧品のベースが完成します。
界面活性剤の種類によっては、乳化作用のほかに洗浄作用もあります。皮脂やメイクなどの油性成分は水だけでは落とせませんが、界面活性剤を使えば落とすことができます。しかし、界面活性剤の使いすぎは、肌に必要な水分や皮脂まで奪ってしまうため、「界面活性剤=肌に悪い」というイメージがあります。
しかし、界面活性剤を使わずに化粧品を完成させることは非常に難しいです。いかに肌への刺激を抑えながら配合するか、開発者の腕の見せ所です。
界面活性剤の中でも、合成界面活性剤は特に敏感肌への刺激が強い。肌に優しい化粧品づくりを考えるのであれば、合成成分ではなく、天然由来成分やアミノ酸由来成分を選ぶことをおすすめします。原料費が高くなるというデメリットはありますが、マイルドで敏感肌でも使いやすいのが特徴です。
最近では、あえて界面活性剤を使わないローションもあります。水性成分と油性成分を混ぜない2層構造が特徴です。ドレッシングのように振って水と油を一時的に混ぜる方法です。
非液状の乳液やクリームには配合できないが、ローションには使用できます。水性成分、油性成分のどちらかを着色することでデザインが得られるので、シンプルな透明ボトルでもおしゃれに見せることができます。スタイリッシュなローションにしたい場合は、界面活性剤を使わないという選択肢もあります。
基本成分以外の成分
実は、基礎成分だけで化粧品の品質を守ることは難しく、残りの約30%の成分も重要な役割を担っています。機能性成分、安定化成分、その他の成分に大別されるので、詳しく紹介します。
機能性成分
機能性成分は、一般に「化粧品原料」あるいは「有効成分」と呼ばれている。化粧品に機能性を持たせることを目的としています。
・肌の保湿
・シミ・ソバカスの予防
・毛穴の引き締め
・弾力アップ
機能性成分は多ければ多いほどよいわけではなく、これらの成分は多すぎると効果がなかったり、肌に刺激を与えたりすることがあります。そのため、配合できる成分の上限が決まっているものもあります。
たとえば、たった1グラムのヒアルロン酸で2~6リットルの水を保持できます。化粧品に1%配合するとゼリー状になるため、基本的には1%以下しか配合できません。このように、機能性成分は少量でも効果を発揮するものが多く、少量でも配合することで化粧品に機能性を持たせることができます。
安定化成分
安定化成分もまた、化粧品の品質維持に欠かせない成分です。安定化成分の目的は、化粧品の劣化を防ぐことです。主な成分は、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、増粘剤などです。
防腐剤
化粧品製造時にどんなに衛生面に気をつけていても、開封後の容器には消費者の手や空気中に存在する微生物が入り込み、増殖することがあります。エアレス容器のような気密性の高い素材を使用してもこれを完全に防ぐことは難しく、防腐剤の添加は雑菌の繁殖を防ぎ、品質を保つ有効な手段です。肌への刺激を考えると、できるだけ少量で効果のある防腐剤を使うのが理想的です。パラベンやフェノキシエタノールなどがよく使われます。
酸化防止剤
油分を含む化粧品は空気に触れると酸化する可能性があるため、酸化防止剤を使用する必要があります。酸化とは、物質が酸素と結合することです。化粧品が酸化すると、皮膚を刺激したり、色やにおいが変わったりします。これを防ぐために、ビタミンE(トコフェロール)などの酸化防止剤が配合されます。酸素と結合することで他の物質の酸化を防ぎ、化粧品の品質を保ちます。
キレート剤
化粧品の品質を低下させる金属イオンから化粧品を守るのがキレート剤です。化粧品に含まれる金属イオンは少量でも色や匂いの変化、乳化の破壊を引き起こします。
pH調整剤
pH値は物質の酸性またはアルカリ性の度合いを示します。0~14が数値基準で、7が中性、7以下が酸性、7以上がアルカリ性です。人間の肌のpHは4.5~6.5なので、化粧品はこのpHに調整する必要があり、クエン酸などの成分を加えてpHを調整します。
増粘剤
増粘剤はポリマーとも呼ばれ、化粧品の使用感を決める上で大きな役割を果たします。化粧品の使用感や肌への影響は、消費者にとって重要です。そのため、増粘剤は適度なとろみを与え、製品の機能性を安定させるために添加されます。また、乳化物の分離を抑制する効果も期待され、乳液やクリームに使用されることが多くあります。
その他の成分
化粧品に使用されるその他の成分には、香料、着色料、熱・冷却剤などがあります。これらの成分は、化粧品の外観、香り、使用感を高めるために使用されます。着色料は特にメイクアップ化粧品には欠かせません。スキンケアでは使用されないことが多く、その他の成分は、開発される製品によって配合が異なります。
化粧品の成分バランスはとても重要
化粧品の70~90%は基礎成分で構成されていると述べました。そのため、基礎成分にこだわらなければ良い化粧品は完成しないと言えます。
しかし、残りの成分も化粧品の開発において非常に重要な役割を担っているのです。すべての成分をバランスよく配合することが「いい化粧品」の秘訣なのです。